ザ★カインズの旅行手記 (2)
2002.8.26
和賀英樹
 
〜前回までのあらすじ〜
  カインズで日帰り旅行。とりあえず最初の目的地「海ほたる」を何とか出発した面々。しかし予定の時間より1時間もオシてしまった。果たして車は時間どおりに返せるのか!河野さんのお金は足りるのか!これから一体どうなってしまうのか!!
そういえば前回に旅行の行程を書いていなかったので、改めて紹介しよう。これは実際にメンバーに配ったパンフレットの一部です。

ザ★カインズ 日帰り旅行プロジェクト

東京湾海上散歩!

「海ほたる」「東京ドイツ村」

平成14年8月26日(月)

集合場所 「JR川崎改札前時計台」10時

解散場所 「京急久里浜駅」    19時

川崎駅前 ―― 東京湾アクアライン ――海ほたる(海

から360度のパノラマ。資料館、ショッピングも楽しみ)

 ―― 東京湾アクアライン(千葉側は橋の上で海上散歩)

 ―― 東京ドイツ村(昼食にバーベキュー、ドイツのビ

ールも有ります。だだっ広いスペースを都会の喧騒を忘れ

るまで堪能。自由散策。) ―― 保田番屋(海の幸を満喫

) ―― 東京湾フェリー(サンセットクルーズ) ―― 

京急久里浜駅(お疲れ様でした)

 

旅程は、天候によって変更がある場合も有ります。又、卓

上の時間計算の為、個々の満足がいく立ち寄り時間が取れ

ない事も有ります。

持ち物 銭・・基本料金は6500円を予定しています。

(食事代含まず)。プラス飲食代を考慮し

てください。もちろんお土産代は自分持ち



この他に主要観光場所の案内などを載せて各自に配布した。本当は写真などをちりばめてカラフルなパンフを作りたたったが、インクがもったいないのでやめてしまった。もちろん事前作業の資金は旅行代金に含まれていない。さて本編へ。

海ほたるからドイツ村。今回一番のドライブポイントである。運転手は旅行係の特権を生かして私。いいじゃん!運転したかったんだもん。河野さん!
海ほたるから本線へ入ると、軽い上り坂。海面40Mを越えると、まるで海に浮かんでいる様に、真っ直ぐスーっと道路が延びている。まさに海上ドライブだ。東京湾にカインズを乗せた車の横に、白い羽がサワサワと広げられ、何もない海の上を純白な海鳥が、歌いながら自由気ままに飛んでいる感じだ。表現的にちょっとキモいか?男6人の旅行としては。でも私は色々な場所に行っているが、こういった景観は見たことが無い。横浜ベイブリッジなどの吊り橋型の橋は、主塔、ワイヤーがどうしても景観を邪魔する。瀬戸大橋の一部にこのような所もあるが、橋脚に高さがありすぎる。海上ドライブという感じではない。河口湖大橋、琵琶湖大橋などは湖だ、海の上を走っていない。これを読んでいる方でアクアラインの橋梁に似た橋を知っている人がいたら、掲示板に書き込んで下さい。宜しくお願いします。

 海ほたるでは別々だった我々も、また車内で一致団結。アクアラインの美観に歓声があがる。こんなところでスピードを出す必要もないと、80kmでクルージング。左手に潮干狩りをしている漁師さんを眺めながら、人のあるべきを考える。約4kmの海上ドライブも終わり、陸路は現実に戻ってアクセルを吹かす。館山自動車道経由で「東京ドイツ村」へ、ってここ東京じゃないじゃん!(じゃん=神奈川弁)
 有料道をおりてR24。ほどなく「東京ドイツ村」の看板が見えてきた。でも最近この「東京」にはやっと慣れてきた。東京=関東近郊という事になっているのだろうか、今では老舗の「東京サマーランド」もやはり「東京」だ。アッ!あそこはあきる野市か!近所の方すみません。以前前を通った時に「エッ?東京?」って、すみません。サマーランドに嘘偽りはございません。立派な東京都だ。事の発端はTDLだ!ウンウン!などと考えつつ、看板の矢印方面を見るとまさに「ドイツ村」だ。何も無いので遠いところからよく見える。

大きなゲートに近づく、本当に大きい。取りあえず近くの駐車場に止めてチケットを買いに行こうと思ったが、駐車場らしき所には車が一台も無い。車で来る客がいないのか、もしくは客自体いないのか、などと考えつつ入場ゲートへ。分った!ドライブスルーになっている。そりゃ大きいわけだ。入場料は通常1人1200円(中学生以上)×6(人)=7200円。でもここは旅行係の腕前発揮。なんと我々は割引クーポンを駆使して6人で600円、1人あたり100円也。すごい割引率だ。受付のお姉ちゃんはあっさり「入場料は600円です」。本当に良いのかドイツ村!

 大手サファリパークと同様ドライビングイン方式。園内は右回りの一方通行で、山手線外回りと一緒だ。途中の施設の前に駐車場があるが、こう考えると車で来なければとても不便ではないだろうか?園内巡行バスも見た目なさそうだ(たぶん有ると思うが)。都内では考えられない様な東京がここにはある。パンフレットに「広い芝生と青空がごちそうです」確かにネ。ただ今日は雲で覆われた白空だ。「雄大な自然ふれあいパーク」自然は自然だけれど人工的な自然だ。でも、ある意味こういう所が東京である。最近出来た場所だけに、以前はどの様な場所だったか気になった時「ここはもともとゴルフ場じゃないのかな」と貴日さん。流石貴日さん、これはズバリだと思う。どなたか真実を知っている人がいたら教えてください。



 とはいえ、私的にこの様な場所は大好きである。だだっ広い空間にちょこちょこっと施設(アトラクション?)があり、細々と興味をそそる場所がある。ゲートから時計回りに簡単に紹介していこう。
 まず左手にボート池。名前のとおりボートがあるが誰も乗ってない。右手はザ・マーケットというショップ。道なりに行くと右手に滑り台や砂場(バンカーっぽい)などがある、わんぱく広場。ほどなく目の前に広がるものすごい数のパターゴルフ。6コース108ホールとはただ圧巻である。こんなホール数は見たことが無い。そのままコースインしたかったがここはとりあえずスルー。観覧車のゴンドラは黒、赤、黄と、ドイツの国旗を彩っているのか。てっぺんから見る景色は素晴らしい事だろう。観覧車をすぎるとドイツ風の建物が並んでいるマルクトプラッツというショッピング&レストランがある場所だ。ここは後でバーベキューをしようとしている場所。また後で来る。右下り左手に子供パターゴルフ場。60歳近い人がプレーしているのが気にかかる。人間年を取ると子供に戻ると言うがこのことか?その先に芝そりゲテンデ。丘に芝生が張ってあり、そこをダンボールか何かで滑る所。ただし人工芝だ。その後にはおもしろ自転車、バズーカー、アーチェリー、スーパーチェアー(空中ブランコ)がある。おー!バズーカーがある!現代社会人のストレス発散マシンだ。「課長のバカ野郎!」などと叫びながら撃ちっぱなして欲しい。余談だが、山に登って「ヤッホー!」の代わりにこれを言うと、周りのオヤジ連中にバカウケ間違いなし!ただ一人で必死に叫んでいると、周りの人影が遠のいていくので注意が必要だ。
 そんなこんなで一周してしまった。それで皆の気になる場所を聞いてみた。
  貴日  観覧車(高い所好き?)
  常見  芝ぞり(くだらない所好き?)
  村山  パターゴルフ(恋の19番ホール)
  矢ヶ崎 バーベキュー(痩せの大食漢)
  河野  お金(申し上げる事ございません)
 ちなみに私は何でもいい。ただ旅程的にバーベキューが優先だ。時間的にも旅程的にもバーベキューだ。お腹を空かしている人もいるだろう。気になるのは海ほたるでカレーを食べた人たちだ。
 「バーベキューだよね?」と後ろから声がかかる。後ろというとカレーを食べた率75%を誇るエリアだが、そこから声がかかったので一安心。予定通りマルクトプラッツに向かっている車のアクセルを、私は無意識に踏み込んでいた。園内はたしか20キロ規制だったが、それを遥かに超えていた。



 マルクトプラッツ前の駐車場に車を止める。ドイツ風の建物が並んでいて一瞬「ドイツに来たんだな〜」と錯覚してしまいそうだが、良く考えると何がドイツ風だか分らない。知識の無い私からすればオランダと言われればオランダ、スイスと言われればスイス、サザエさんのエンディングの家と言われれば、そうだなーっと思ってしまう。「何のこっちゃ」と思いつつ、そのドイツ的洋風建物の中へと向かう。が、建物の間を通り広場に出た。私はバーベキューの店を探す為、入り口でもらったパンフレットを見ると、そこには「バーベキューレストラン」と書いてある切抜きの写真が載っている、これだ。その写真には、ほぼ満席の屋外のテーブルで賑やかに鉄板を囲んでいて、活気がある場所に見える。だけど目の前にある光景は誰もいなく、いくらテーブルの上に鉄板があっても本当にここなのか確信出来ない。かろうじて屋内テラスでバーベキューを楽しんでいるファミリーが居るのでここだと分ったが、閑散としている。アラアラ。
 取りあえず建物の中に入る。左手にはドイツ料理や酒が楽しめるカフェテリアになっていて、右手には何やら食材が置いてあるスーパーにある様なショーケースが並んでいる。どうやらバーベキューの食材をここで買って、各々好きなテーブル(室内、屋内テラス、屋外テラスの3種類)でバーベキューを楽しむといったシステムらしい。いや、システムだ。初めて来た人に対してこういう事はもっと明瞭にして欲しい。見てみろ!他のメンバー達はカフェテリアの食券機の前で、どれにしようか考えているじゃないか!

 ショーケースの中にはそれなりにバーベキューの食材が並んでいる。それを各自で好きなだけ取っていく食べ放題のバイキング方式。だけどお金も払い放題の海賊方式。あとはお腹とお金の相談次第という事で、我々は有りがちな割勘方式を採用した。
 どうせ割勘だからいっぱい買ってしまえ〜!と思ったが、買いすぎるとお金の面でやばい人が若干1名いるので食材は少なめにした。足りなくなったら買い足せばいいし、カレー族もいるので3〜4人前位。反カレー族の矢ヶ崎君と村山はご飯も買っていた。同じ私は多分買い足しがあるだろうと踏んで、その時は気楽な気持ちで納得していた。さて次は飲み物だ、ドイツといえばビール!そうだ、ビィールュウだ!
 実のところ、今の今まで私はアルコールを我慢していた。やはり旅行といえば昼間から酒を呷るのも楽しみだ。しかし今回は車の旅行なので、旅行係としてはハナっから酒を飲んではいけない。でも旅程は半分をこなし、自分も車を運転した。その時点でも使命は80%こなしたであろう。後は何とかなるだろうし、酒が入った処でメチャクチャになる自分ではない。もう解禁してもいいだろう、ポケットに潜めていたワイルドターキー8year(Al50%)も、幼鳥のツバメが餌を持ってくる親を待つようにピーチクパーチク言っている気がした。でもターキーである、しかも8歳。
 皆の話が飲み物へと変わっていく。置いてあるビールはドイツ直輸入としてある3種類のビール。レーベンブロイとなんとかというビール(名前を忘れた)、そして不可思議なビールが置いてある。「和」とラベルに書いてあるが、もちろんドイツ直輸入だ。ドイツなら「独」だろう!なんで「和」なんだよ!と皆で議論が始まる。が、河野さんがやや興奮気味に話し出したとたん、他のメンバーは蜘蛛の子を散らす様にどこかにいってしまった。いいですよ河野さん、私が話を聞きましょう。
 酒が好きでない貴日さんはノンアルコールのビール、常見さんはなんとかというビール、私、村山、矢ヶ崎君はレーベンブロイを選んだが、河野さんだけは何も持ってない。さっきの事があってか、車の運転をするからいらないと言っている。「ノンアルコールビールにすれば」「ジュースがあるよ」とか皆から勧められるが頑なに拒否の姿勢。貴日さんの「だったら水にすれば。お茶もあるよ」カインズのまとめ役の一言で一件落着と相成り。

 食材、食器等を抱えて屋外のテーブルに向かう。晴れていなくてちょっと残念だが、景色は決して悪くない。いい雰囲気である。ただ風が強いのが気がかりだ。
 出来るだけ人気が無い場所にしようとしたが、屋外テラスには我々しかいない。適当な場所に陣をかまえる。各自の席割りは下の様になった。


 村山   貴日   河野 
 鉄板 
 鉄板 
 和賀   矢ヶ崎   常見 



 さあ、乾杯だ!乾杯の音頭は常見さん。長くなるとビールが温くなるからイヤだなのどと思っていると、「とりあえず乾杯」あっさり終わってしまった。「乾杯!」と残暑の屋外だ、冷たい飲み物は格別にウマイ。各自がゴクゴクと飲む中、河野さんだけはチビリとやった。どうやら熱いお茶だったらしい。
 2つの鉄板からジューッという音と、食欲を誘う煙が立ち昇る。「なんとか奉行」ではないが私には私なりのバーベキュー持論がある。というか鉄板焼きについてだが。まず鉄板に油をひき、肉ではなく野菜をひき、その上に肉を置く。そして肉の上にまた野菜を置く。そのまましばらく置いておく。頃よく「焼きそばだよー。ジュー。」よろしく、豪快にコテで鉄板から立ち上る野菜の湯気と絡ます様に焼き上げる。ようは肉を蒸し焼きにするのだ。直に肉を鉄板の上に置くと、どうしても硬くなってしまう。それでもいいといえばいいが、もやし、キャベツ等の野菜があれば蒸し焼きの方が肉も柔らかいし、美味いと思うし、鉄板にも嫌な焦げが少なくなる。てな事で、私は前の鉄板に野菜を並べていた。そして肉をその野菜の上に置こうとした時、貴日さんと村山が鉄板の上に肉を放り込んできた。そういえば自分のレシピなど誰にも話していなかった。「なんとか奉行」になりたくなかった私は、黙って自分のレシピどおりに事を進めようとしていたが、その時点で打ち止め。思惑ははかなく、だた直に置かれた肉を見つめていた。並べた野菜はただの野菜炒めになっていき、肉の下からは焦げた匂いがしてきた。そして一句。
  バーベキュー
  これ本当の
  レシピなく
  皆で楽しく
  食べればいいや



貴日さんがおもむろに塩、コショウを取り出す。
「肉にはたっぷりの塩コショウで下ごしらえをすると美味いんだ」
たしかに貴日さんはよく知っている。ただ嫌な予感が脳裏に渦巻く。前に書いたとおり風は強い、しかも前図の上から下に吹いている。塩はまだ質量があるので何とかなったが、料理をしたことがある人はご存知の様にコショウは軽い。豪快にコショウを振る貴日さん。風下の私は大魔王が「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャヤ〜ン!」といわんばかりの勢いである。もう一つの鉄板にも振舞っていた貴日さん。常見さんの所にも大魔王が降臨していた。
 とはいっても、本当に小生の文才では書き表せないほど、場は盛り上がっていた。良かった良かった、一時はどうなるかと思っていたが、メンバーの笑顔がテーブル上でこぼれる。常見さん写真を撮る、矢ヶ崎君ガッツク、河野さん黙々と食べる、村山顔面紅潮、貴日さんコショウを振る。皆の楽しそうな顔を見ていると旅行係としては、これ以上に無い満足感がある。アー良い仕事をしたなーっと美酒を呷ろうとしたが、ビンの底が空しく天をかざす。もう一本買ってこようかとポケットの財布を探すが無い!財布が無い!周りを探しても無い!無い!やばい!財布の中には今回の旅費が入っている。別に私の財布が無くても、旅費を前徴収した訳でないから旅程はこなせる。だけど私の大蔵省は黙っていない!あっ、今は大蔵省じゃなかったっけ。
 さあ、どうなるのか!財布は見つかるのか!旅程はうまくこなせるのか?いや旅行がちゃんと成り立つのか!一体どうなってしまうのか!?
 波乱の次章は一体いつになるのかーっ!!
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